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2019/10/13

アドベリフィケーションの役割

 

近年、デジタル広告の仕組みを悪用した犯罪行為を防止する方法として、注目を集めている「アドベリフィケーション」。ad(広告)とverification(検証)という名前のとおり、「広告を検証する仕組み」を指します。検証する事柄は、大きく分けて以下の3つです。

 

(1)ブランドセーフティ検証

brand(ブランド)のsafety(安全性)が侵されていないかを検証します。ユーザーが広告を見る際、それをFacebookで見た場合と、成人向けの違法コンテンツを扱うサイトで見た場合とでは、印象は大きく異なります。後者の場合、企業ブランドのイメージが毀損される可能性があります。

(2)アドフラウド検証

ad(広告)fraud(詐欺)は、ユーザーに見えない「隠し広告」や、不正な広告挿入によって、クリック数や表示回数を水増ししていないかを検証します。広告に間違った価値がつけられた場合、広告主が不当な広告料金を請求される事態が起こり得ます。

 

(3)ビューアビリティ検証

ユーザーの目に映る状態(viewability)でのインプレッションが、広告配信数全体の中でどのくらい占めるかを検証します。ページの下部に広告が掲載されている場合、ユーザーが画面をスクロールしなければ、広告は閲覧されていないことになります。しかし、ページが開かれた時点で表示回数はカウントされているので、その分広告枠の料金は課金されています。ビューアビリティを割り出すには、広告がどの部分に、どの大きさで掲載され、何秒間ユーザーの目に入っているのか、明確にする必要があります。

 

違法コンテンツを含むページに掲載された広告(赤枠部分)

 

上記赤枠部分の問題

①ブランドセーフティにおける問題

違法アップロードされた動画や、過激な広告(緑枠部分)を含むページに広告が掲載され、ブランド毀損に繋がっている。

②アドフラウドにおける問題。

第3者が広告を不正に上書きし、ユーザーが閲覧しているメディアの広告と見せかけて掲載している。

③ビューアビリティにおける問題

ユーザーがページを開いた時点で、ファーストビューより下部に掲載されている広告が、閲覧の有無に関わらず課金されている。

 

 

ネット広告買い付け手法の複雑化

 

アドベリフィケーションが必要とされる背景には、プログラマティック広告(=広告主が事前に入札金額などのルールを決め、その条件に沿って自動的に広告枠を買い付ける方法)の隆盛が挙げられます。プログラマティック広告の一般化により、インプレッションの「質」ではなく、「量」や「安さ」で広告枠が評価されるという事態が生じた結果、品質の悪い広告枠がマーケットに流れ、広告が意図通りに配信されているのか、検証する仕組みが求められるようになったのです。

 

しかし、アドベリフィケーションの重要性は、未だ日本の広告業界全体で共有されているわけではありません。ツールを導入するとその分広告単価が上がるため、広告主とパブリッシャーのどちらがコスト負担をするのか、議論になることもあります。

 

アドベリフィケーション対策に関する意識調査

Momentum株式会社は、広告事業の担当者382名にアンケートを実施。

前年と比較すると対策の意向は高まっているもの、対策をとっている企業は少数である。

出典(https://supership.jp/magazine/column/3044/

 

広告主は、クリック数や単価の安さではなく、ユーザーにきちんと見られている優良な広告枠を選択することが重要です。そうなれば、代理店も対策に力を入れているパブリッシャーやベンダーを選定することになり、パブリッシャーはアドベリフィケーションの対策にコストを割き、ユーザーは安心してインターネットを利用し、広告を閲覧できるようになります。このように、ステークホルダーの連携が今後の普及の鍵となります。

 

 

日本マイクロソフトと富士通の取り組み

 

日本マイクロソフトは自社製品「Surface」のキャンペーンに際し、広告代理店カラ・ジャパンと共にIAS(Integral Ad Science)のツールを活用。2018年には、朝日新聞デジタルと東洋経済オンラインを対象に、ビューアブル(可視化された)インプレッションのみを購入するというキャンペーンを実施しました。日本マイクロソフトは「クオリティの高いメディアへの広告配信」を課題に掲げ、今後も「ビューアブルインプレッションに限定した買い付け」を検討している、としています。

 

また、広告配信事業を展開する富士通株式会社(以下富士通)は、2018年からMomentum社の「Hytra」を導入し、ブランドセーフティの対策を始めました。

富士通は、自社の3つの商材が異なるキャンペーン広告を対象に広告配信を試験的に実施。不適切だと判断されたページには広告が掲載されないよう、入札や広告表示がブロックされる仕組みを取り入れました。

 

【富士通の事例】 防止策の適用前後でブランド毀損リスクを比較

 

全てのキャンペーンで、リスクの数値を10パーセント以上削減することに成功。

出典:https://supership.jp/magazine/product/2042/

 

デジタル広告が一般化し、今後アドベリフィケーションの対策は広告事業者にとって必須となるでしょう。しかし、本稿で取り上げたブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティの取り組みは、あくまでもマイナス要因を排除する取り組みに過ぎません。

 

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