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旬ワード|Vlog

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2020/01/14

Vlogとは

 

「Vlog」は「Video」と「Blog」を組み合わせた“動画ブログを意味する“造語です。内容は、配信者であるVlogger(ブイロガー)が自分の日課や趣味などを撮影して、10~20分程度に編集したもの。YouTubeやInstagramなどのような、動画プラットフォームの名前ではなく、あくまでも該当するコンテンツ群の通称です。Vlogが配信されている動画プラットフォームはYouTube、InstagramやTik Tokなど多岐にわたりますが、現状日本ではYouTubeの配信がほとんど。

最近では中国や韓国などのアジア圏で配信者が増えており、新しい動画マーケティングの手法としても注目を集めています。

 

台湾と中国で人気を集める、欧陽娜娜さんのチャンネル

欧陽娜娜さんはYouTube(左)や中国版TwitterのWeibo(右)など、

さまざまなプラットフォームでVlogを配信。

複数のチャンネルを使い分け、幅広い視聴者にアプローチしている。

 

Marketing Research Campが行った2019年の調査によれば、日本でも約3割の人々がVlogを認知しており、20代のうち約4割の人が存在を認識していました。(ただ、アンケートに回答した人々が、Vlogとその他動画コンテンツとの差異をどれほど認識しているのか不明瞭なため、調査結果の読み取りには注意が必要かもしれません)

 

「Vlogを視聴したことがあるか?」

 

Marketing Research Campが17歳~69歳の男女1,100名にアンケートを実施。

Vlog視聴経験者の約3割が、「ほぼ毎日視聴する」と回答した。(アンケート回答者は943名)

 

出典(https://marketing-rc.com/report/report-video-20190717.html

 

Vlogが人気を集める背景には、動画コンテンツが一般に浸透するにつれて、有力インフルエンサーの多くが広告目的の動画を投稿するようになったことが挙げられます。広告過多の既存動画コンテンツに辟易した人々に支持されるようになったのが、個人のライフスタイルにフォーカスするVlogなのです。

 

「日常」を切り取るVlog

 

これまで支持を集めてきたYouTuberコンテンツの内容には「~をやってみた」、「ドッキリ」など、バラエティ要素が多いのに対し、Vlogは配信者の飾らない「日常」がコンテンツです。人気ジャンルとしては、毎日のルーティン(料理や身支度)、旅行やドライブ・散歩など移動中の風景が挙げられます。

 

in living. (インリビング)さんのチャンネル

出かけるまでの身支度、ご飯を食べる様子などを配信。

動画の淡々としたタッチが「飾っていなくて良い」と人気を集めている。

 

 

のりごとーさんのチャンネル

カメラに向けて話しながら、旅行先での移動の様子や、風景、食事シーンなどを配信。

Vlogの移動シーンは、構図が固定されず、手持ちで自然に撮られることが多い。

 

 

Vlogは、個人のライフスタイルにフォーカスするというコンテンツの特性上、広範囲にわたる情報発信ではなく、特定の趣向をもった「狭い」範囲の視聴者に深くアプローチすることが可能です。そしてVlogの視聴者は、コンテンツ自体の面白さより、「この人と同じような暮らしがしたい」とVloggerの生活に共感できることを重要視します。そのため、一般的な認知度は低くても、特定のファン層と信頼関係を築き、局地的な人気を集めるVloggerは数多く存在します。

 

Vlogを活用した販促事例

 

Vlogは、PR要素が少ない動画プロモーション(商品の使用感などをさりげなく伝えるといった方法など)の手法として企業に活用されつつあります。視聴者と信頼関係を築いているからこそ、控えめな紹介でも、商品のポジティブな印象を視聴者に与えることが出来ます。

 

(1)KKday

旅行ツアー会社「KKday」は、日本のYouTuberヨッシーさんが運営するチャンネル「City_Nest」とタイアップ。ヨッシーさんは旅行の行程や感想について視聴者に話しながら、移動風景や観光中の様子を撮影しています。途中、「日本人のガイドが付いて歴史的な背景を教えてくれます」とツアーについて言及する部分は数秒ありますが、それ以外はプロモーションであることをほとんど感じさせない内容です。

 

ツアー会社KKdayのタイアップ事例

 カメラに向かって話しかけつつ、移動中の風景を撮影することがほとんど。

左下のロゴ表示でKKdayとのタイアップ要素が確認できる。(赤枠)

 

(2) SONY

SONYのPlayStationマーケティングチームは、ブランドと頻繁にタイアップしているインフルエンサーと共に、カナダ在住のオーディエンスを対象にした「PlayStation VR」の宣伝活動を実施。そのうちの一人であるKarl Conradさんは自身のチャンネルで、好みのカスタマイズ方法について話したり、ゲームを実際にプレイする姿をVlogで配信しました。

 

SONYのタイアップ事例

 

企業とのタイアップ動画でありながら、

エンゲージメント率(いいねとコメント数の合計を再生回数で割った数値)は

7.9%(2019年11月時点)を記録。

 

 

現在日本国内でVlogを活用したプロモーション事例は少ないようですが、コンテンツ自体は着々と人気を集めつつあり、今後日本でも動画プロモーションが浸透するかもしれません。

旬ワード|スーパーアプリ

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2019/12/16

スーパーアプリとは?

 

LINEとYahooの経営統合で利用者数が1億人規模の国内トップのIT企業が誕生する、という先日のニュース。この2社の経営統合には「スーパーアプリ」の実現という狙いもあるようです。

 

スーパーアプリとは、買い物や決済などのさまざまなサービスを一括で管理・提供できるプラットフォーム型のアプリのこと。有名なスーパーアプリには、中国、騰訊控股(テンセント)の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」やインドの端末決済アプリ「Paytm(ペイティーエム)」などがあります。

 

サービスの包括的な提供で、利用者離れを防ぐ

 

スマホの普及で企業と顧客をつなぐ新たな接点となったアプリ。拡大し続けるアプリ市場で勝ち抜くには、アプリ利用率の向上がカギとなりますが、アプリ会員化等の仕組みだけではリレーション継続が難しく、利用率低迷からの脱却が難しいのが現実です。

FacebookやAmazonではアプリをプラットフォーム化する動きもありますが、1つのアプリでの一括管理ができず、サービスごとにアプリのインストールが必要なのと、複数のアカウント管理が複雑な点が利用者離れを招いていました。

 

そこで登場したのがスーパーアプリ。様々なサービスを1つのアプリに集約しシームレスなユーザー体験を提供することで、利用者数の増加と囲い込みを狙います。また、スーパーアプリ化で利用者数を伸ばせるだけでなく、より多くの行動データを蓄積することも可能で、マーケティングへの活用も広がります。このようなメリットから、既存のアプリをスーパーアプリへと拡大させる動きが進んでいます。

 

生活インフラとなるスーパーアプリは

 

中国全人口の8割が使用する「ウィーチャット」

 

端末決済サービスを軸にスーパーアプリ化を先行しているのが中国、テンセントのウィーチャット。2018年ごろから「小程序(ミニプログラム)」という仕組みを導入して、利用者数を伸ばしています。ミニプログラムはアプリ内で起動するので、サービスごとにアプリをインストールしなくても使えます。ミニプログラムの提供サービスは交通機関・宿泊の予約から動画・音楽配信サービス、保険販売など広くカバーされており、そのプログラム数は現在200万!。アカウント情報はウィーチャットと紐づいて自動入力されるので、利用者情報や支払い情報の登録の手間が省けてスムーズに利用できます。

 

ウィーチャットの月間アクティブユーザーは約11億3,200万人(2019年6月時点)。ウィーチャットに見られるように、アプリ内サービスを自社の決済サービスに帰着させることで可能になった「シームレスなカスタマー体験」がスーパーアプリ成功の要因ともいえるでしょう。

 

「ウィーチャット」ミニプログラム画面

ウィーチャットアプリの「ミニプログラム」画面。
提携企業のサービスを交通、宿泊、配車などのカテゴリで分類し
アプリ遷移を伴わずに「ミニプログラム」でサービスの利用ができる。

出典:日本経済新聞2019/11/20記事

 

配車サービスを起点に発展 インドの「GO-JEK」

 

インドで広く利用されている「GO-JEK」は、もともとは配車サービスのアプリ。配車アプリで培った決済機能とマッチングノウハウを基盤にサービスを次々に展開していきました。アプリの立ち上げからわずか4年で、宅配やフードデリバリー、公共料金の支払いやハウスクリーニングの予約などのサービスを8,000万人に提供する「生活に必須のスーパーアプリ」になりました。

 

「GO-JEK」利用シーンの紹介

出典:Youtube「Life at Gojek」チャンネル

 

利用者をつなぎとめるサービス展開がカギ

 

日本国内の通信・決済事業各社でも、主力サービスを基軸としたスーパーアプリ化やミニアプリ化が進んでいます。メッセージアプリの「LINE」は、同社が運営するモバイル決済サービス「LINE Pay」と連携した「LINE Pay友だち追加機能」で小売店とユーザーのコミュニケーション機会の提供を行っています。ユーザーが小売店で決済した際に、公式アカウントの友だち追加をすれば、LINEアプリへクーポンなどの配信が可能になるという仕組みです。

 

LINEはこのようなアプリ間連携によるサービスのほかに、LINEアプリ内で投資・保険商品なども扱っていますがサービスは限定的です。今後Yahooとどのようなスーパーアプリを作り上げていくのか注目が集まります。

 

LINE Payで支払いをした後、友達追加することでLINEを軸に継続的なリレーションを測ることできる。

出典:LINE Pay加盟店向けブログ

 

また、NTTドコモは、2019年11月28日から、モバイル決済サービスの「d払い」アプリに、ウィーチャットのような「ミニアプリ」機能を搭載します。第1弾となるのは、タクシー配車サービスの「JapanTaxi」。d払いアプリでタクシーを呼び、運賃もそのままd払いでできるようです。d払いのミニアプリは、今後自転車シェアリングや飲食チェーンのテイクアウト予約など利用サービスの拡大を狙います。

 

「d払い ミニアプリ」利用イメージ

d払いアプリを起動し、サービスを選択するとアプリ内で選択したサービスが「ミニアプリ」として起動する。
アプリ遷移をすることなく、そのまま決済まで行える。

出典:NTT docomo

 

今後、日本国内では様々なアプリのスーパーアプリ化が進み、利用者獲得競争が激化するかもしれません。これからのアプリには、海外で先駆けて成功した「ウィーチャット」や「GO-JEK」のように、「消費者が日常的に利用できるサービスのラインナップ」と「消費者が気軽に利用したいと思えるアプリ設計」が求められるでしょう。

旬ワード|オーグメンテッド・ヒューマン

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2019/10/16

オーグメンテッド・ヒューマンとは?
テクノロジーやAI技術と人間が一体化して、人間に本来備わっている知覚・身体能力などを増強すること。インターネットと人間が時間・空間的制約を超えて 相互に協力しあう「IoA(Internet of Abiilties)」の先駆けでもあります。近年、オーグメンテッド・ヒューマンは、労働生産人口が減少していく国内で、生産性や作業効率を高めたり、利用者の人間の可能性が広げることによる新たな可能性を切り開くこともあり期待されています。

 

パワーアシストスーツで肉体労働の負担を減らす

東京理科大学発のスタートアップ企業イノフィスは、装着者の身体の動きをセンサーで感知して動作をサポートするロボット「マッスルスーツ」を製品化。このアシストスーツは、動力機構を背負い、腹の前で締めた腰ベルトや太ももにはめたパッドを通じて装着者の動きを支援。累計出荷台数は4,000台以上で、製造・物流・建設など重労働環境の業界で活用されています。

 

腰をサポートする「マッスルスーツ」を着用した木材加工業では、長年の課題だった腰痛による休職が、半年間でゼロになった。

 

このほか、テクノロジーやAI技術を活用したオーグメンテッド・ヒューマンの領域において、今後の成長が期待されているものには‥

・バイオチップ
・パーソニフィケーション(擬人化)
・感情AI
‥などがあります。

 

体内埋め込みのバイオチップが業務の効率化をサポート

 

スウェーデン鉄道の例

 

スウェーデン鉄道は2017年5月から、世界初となる乗客の体内に埋め込まれたマイクロチップを乗車券の代わりに利用できる検札システムを導入。「スポティファイ」、「スカイプ」といったデジタルテクノロジーのサービスやイノベーションを生んできたスウェーデンでは、もともとデジタルに対する信頼度が高いようです。本人情報が記載された体内のマイクロチップを乗車券にすることで、利用客は従来のような紙の乗車券の紛失を回避でき、乗務員も乗客の検札をスピーディーに行えるので業務の効率化にもつながっています。

体内埋め込み型のマイクロチップで検札

 

LINEカーナビの例
人間の持つ能力を機械やテクノロジーに搭載させ、人であるかのような認知や振る舞いを行えるパーソニフィケーション(擬人化)。アレクサやSiriなどのを代表としたAIも機械のパーソニフィケーションの一つです。

LINEは、AIアシスタント「Clova(クローバ)」を、目的地や要望を伝えるとルートの案内や音声操作ができるカーナビアプリ「LINEカーナビ」として活用(2019年9月より提供開始)。「ねえ、Clova」と呼びかけに続けて、目的地や携帯の操作を会話形式で行うと、呼びかけに反応した「Clova」がカーナビを操作。ながらスマホや、停止しての携帯操作中の事故防止が期待されています。

LINEカーナビの利用イメージ

出典:LINEカーナビ

 

感情AIが円滑なコミュニケーションをサポート
 

アレクサやSiriなどのスマートスピーカーとの会話は、音声による機器の操作を可能にし、その利便性の良さで普及が広まっています。しかしコマンドが会話形式になっただけで、機械的なやりとりは否めません。IT・IoT分野の特許を活用した開発を手掛けるベンチャー企業、スワローインキュベートはパナソニックの特許を活用し、感情を読み取れるAIを開発。「音声感情認識AI」はリアルタイムで発話者の感情を解析、喜び、怒り、平静の3つに分類することが可能になったそうです(音声・会言語解析でなく音響解析をして感情を認識するので、感情認知の検出率は5.91%)。実用に向け、コールセンターで試験的に導入しており、今後はカスタマーサービスやスマートフォン、スマートスピーカへの導入も期待されます。

 

オーグメンテッド・ヒューマンの発達で、人間の知覚や増強された拡張体験が簡単にできる日もそう遠くありません。SNSで同じ趣味嗜好をもつひととゆるくつながる点や、モノよりもコト

消費に注目が集まる今後において、“共感”を想起させる方法として、オーグメンテッド・ヒューマンがマーケティングに影響を及ぼすことも十分にありえます。

旬ワード|アドベリフィケーション

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2019/10/13

アドベリフィケーションの役割

 

近年、デジタル広告の仕組みを悪用した犯罪行為を防止する方法として、注目を集めている「アドベリフィケーション」。ad(広告)とverification(検証)という名前のとおり、「広告を検証する仕組み」を指します。検証する事柄は、大きく分けて以下の3つです。

 

(1)ブランドセーフティ検証

brand(ブランド)のsafety(安全性)が侵されていないかを検証します。ユーザーが広告を見る際、それをFacebookで見た場合と、成人向けの違法コンテンツを扱うサイトで見た場合とでは、印象は大きく異なります。後者の場合、企業ブランドのイメージが毀損される可能性があります。

(2)アドフラウド検証

ad(広告)fraud(詐欺)は、ユーザーに見えない「隠し広告」や、不正な広告挿入によって、クリック数や表示回数を水増ししていないかを検証します。広告に間違った価値がつけられた場合、広告主が不当な広告料金を請求される事態が起こり得ます。

 

(3)ビューアビリティ検証

ユーザーの目に映る状態(viewability)でのインプレッションが、広告配信数全体の中でどのくらい占めるかを検証します。ページの下部に広告が掲載されている場合、ユーザーが画面をスクロールしなければ、広告は閲覧されていないことになります。しかし、ページが開かれた時点で表示回数はカウントされているので、その分広告枠の料金は課金されています。ビューアビリティを割り出すには、広告がどの部分に、どの大きさで掲載され、何秒間ユーザーの目に入っているのか、明確にする必要があります。

 

違法コンテンツを含むページに掲載された広告(赤枠部分)

 

上記赤枠部分の問題

①ブランドセーフティにおける問題

違法アップロードされた動画や、過激な広告(緑枠部分)を含むページに広告が掲載され、ブランド毀損に繋がっている。

②アドフラウドにおける問題。

第3者が広告を不正に上書きし、ユーザーが閲覧しているメディアの広告と見せかけて掲載している。

③ビューアビリティにおける問題

ユーザーがページを開いた時点で、ファーストビューより下部に掲載されている広告が、閲覧の有無に関わらず課金されている。

 

 

ネット広告買い付け手法の複雑化

 

アドベリフィケーションが必要とされる背景には、プログラマティック広告(=広告主が事前に入札金額などのルールを決め、その条件に沿って自動的に広告枠を買い付ける方法)の隆盛が挙げられます。プログラマティック広告の一般化により、インプレッションの「質」ではなく、「量」や「安さ」で広告枠が評価されるという事態が生じた結果、品質の悪い広告枠がマーケットに流れ、広告が意図通りに配信されているのか、検証する仕組みが求められるようになったのです。

 

しかし、アドベリフィケーションの重要性は、未だ日本の広告業界全体で共有されているわけではありません。ツールを導入するとその分広告単価が上がるため、広告主とパブリッシャーのどちらがコスト負担をするのか、議論になることもあります。

 

アドベリフィケーション対策に関する意識調査

Momentum株式会社は、広告事業の担当者382名にアンケートを実施。

前年と比較すると対策の意向は高まっているもの、対策をとっている企業は少数である。

出典(https://supership.jp/magazine/column/3044/

 

広告主は、クリック数や単価の安さではなく、ユーザーにきちんと見られている優良な広告枠を選択することが重要です。そうなれば、代理店も対策に力を入れているパブリッシャーやベンダーを選定することになり、パブリッシャーはアドベリフィケーションの対策にコストを割き、ユーザーは安心してインターネットを利用し、広告を閲覧できるようになります。このように、ステークホルダーの連携が今後の普及の鍵となります。

 

 

日本マイクロソフトと富士通の取り組み

 

日本マイクロソフトは自社製品「Surface」のキャンペーンに際し、広告代理店カラ・ジャパンと共にIAS(Integral Ad Science)のツールを活用。2018年には、朝日新聞デジタルと東洋経済オンラインを対象に、ビューアブル(可視化された)インプレッションのみを購入するというキャンペーンを実施しました。日本マイクロソフトは「クオリティの高いメディアへの広告配信」を課題に掲げ、今後も「ビューアブルインプレッションに限定した買い付け」を検討している、としています。

 

また、広告配信事業を展開する富士通株式会社(以下富士通)は、2018年からMomentum社の「Hytra」を導入し、ブランドセーフティの対策を始めました。

富士通は、自社の3つの商材が異なるキャンペーン広告を対象に広告配信を試験的に実施。不適切だと判断されたページには広告が掲載されないよう、入札や広告表示がブロックされる仕組みを取り入れました。

 

【富士通の事例】 防止策の適用前後でブランド毀損リスクを比較

 

全てのキャンペーンで、リスクの数値を10パーセント以上削減することに成功。

出典:https://supership.jp/magazine/product/2042/

 

デジタル広告が一般化し、今後アドベリフィケーションの対策は広告事業者にとって必須となるでしょう。しかし、本稿で取り上げたブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティの取り組みは、あくまでもマイナス要因を排除する取り組みに過ぎません。

 

旬ワード|信用スコア

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2019/09/02

信用スコアとは?

 

信用スコアは、さまざまなデータを基に「個人の信用」をスコア化したもの。提携企業はスコアを参照し、貸し付けや融資などのサービスの提供可否を決定します。近年の信用スコアビジネスでは、AIを導入することで迅速かつ公平なスコア算出ができるようになり、サービスの幅に広がりが見られます。

 

信頼スコアは、提携会社や信用機関、情報銀行から収集される学歴や勤務形態、年収などの属性情報やサービスの利用状況(要:本人の利用許諾)によって生成されます。最近のスコアリングの大きな特徴は、改善が自発的にできる点。信用スコアが算出された後でも、趣味などの属性情報を追加登録すれば、追加された情報を基にスコアが加減されます。

 

ビッグデータを信用スコアに活用

 

信用スコアが注目される理由は、ビッグデータを用いることで独自の観点を持った信用情報が形成できるようになったからです。これまでのクレジットスコアなどの個人属性を評価基準とする信用情報は、精度こそ高いものの‥

1)評価に時間がかかる

2)金融商品以外で有用できる利用企業が少なかった

‥という問題がありました。

 

しかし、最近はビッグデータも定性データとして評価軸に活用し、各種サービスへの汎用性も高い独自の信用情報が注目されるようになっています。顧客に独自の信用スコアを付与し、スコアに応じて優遇サービスを提供することにより、企業は顧客の離反防止に加え、新たな顧客の開拓既存もできるようになります。

 

中国ではインフラレベルで浸透

 

現在、中国では国を挙げての信用スコアブーム。政府は2020年までに、あらゆるデータから信用スコアを算出する“社会信用システム”の全国導入を進めています。

 

中国国内の信用スコアサービスを先導するのが、「芝麻信用(ジーマクレジット)」。アリババグループ系列のアントフィナンシャルが運営するキャッシュレス決済機能、「アリペイ」に付帯するサービスの一つで、現在利用者は5億2000人ほど(中国の全人口の3割を超える利用者)。

 

スコアは「個人特性」「支払い能力」「返済履歴」「人脈」「素行」の観点から利用者の支払い能力を合計350~950点で自動算出されます。また、利用者が自分で出身大学や職業を登録することで点数を上げることも。スコアが高いと、多岐にわたるサービスの優遇メリットが受けられることもあり、利用者の増加に拍車がかかっています。

 

芝麻信用の優遇サービス(一部)

  • ●ホテル宿泊時にデポジットが不要
  • ●特定の国への渡訪時にVISA申請が不要
  • ●自転車等のシェアリングサービスの提供

 

芝麻信用のスコア画面

(個人特性、支払い能力、返済履歴、人脈、素行の5つの観点で算出された点数が、レーダーチャートで表示される)

出展:総務省編.『芝麻信用など信用スコアサービスと情報銀行・プラットフォーム企業動向の考察』より

 

芝麻信用のスコア精度は高く、社会インフラとしても浸透しています。高いスコア保有者は社会的信用があるとみなされ優遇の幅も広がるので、利用者は積極的に個人データを登録して積極的なスコアアップを目指しているようです。

 

LINE SCORE

 

日本国内でも、昨年より大手情報通信各社の間で信用スコアサービスへの参入が徐々に増えつつあります。今年の6月には、LINEがAIを利用した独自のスコアモデルで利用者の信用度を算出するLINE SCOREを開始。測定したスコアに応じてキャンペーンなど利用者にあった特典を提供しています。

 

<LINE SCOREの優遇サービス(一部)>

  • ●車などのシェアリングサービス
  • ●ファッション小物のサブスクリプションサービスの利用
  • ●宿泊施設など割引クーポンのプレゼント

 

AIを用いた信用スコアのアルゴリズムは、2019年夏LINEからローンチ予定の個人向け無担保ローンサービス「LINE Pocket Money」にも利用される予定です。

 

ドコモスコアリング

 

LINEの他にも、国内の情報通信や金融各社が信用スコアサービスの開始や参入を発表。ドコモは利用者の携帯電話の利用状況や支払い履歴、コンテンツサービスの利用履歴をもとに支払い能力を点数化する「ドコモスコアリング」の提供開始を予定。同じく「提供予定のドコモレンディングプラットフォーム上において、算出したスコアが基に金融機関と契約者との間にレンディングサービスの信用情報として活用される予定です。

 

国内の信用スコアの普及は、これから?

 

日本では信用スコアの利用が、中国ほど浸透していないのが現実です。国内ではクレジットスコアや既存の信用情報機関の信用情報が利用者の支払い能力や社会的信用度を図る指標として普及しており、スコアとして絶対的な権力を持っています。これに対して信用スコアリングを行う各社は、利用者のメリットとなる特典やキャンペーンを打ち出すことでサービスの利用者数の拡大を狙っていますが、既存の会員優待サービスに類似するため信用スコアの利用拡大の誘因に繋がっていません。

 

信用スコアが生み出すバーチャルスラム

 

一方で、AIが算出する信用スコアによって「バーチャル・スラム」と呼ばれる貧困層が生まれる可能性も懸念されています。アルゴリズムによってユーザーをスコア化する際に、アルゴリズム上は最初から良いユーザーと悪いユーザーが生まれる弊害があります。しかし、スコアが低かったユーザーが結果をみても、AIが算出したため本人に理由がわからず対応もできないということが起こります。低得点であるゆえに社会的信用がないと見なされ、個人融資やサービスが受けられない可能性も。その結果、貧困から抜け出せなくなってしまうことが懸念されます。スコア評価にAIを取り入れる公平性と、AI故に生じる評価のバイアスとのバランスを考慮したスコア活用が、今後の信用評価ビジネスの普及の鍵ともいえそうです。

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