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旬ワード|クラウドゲーム

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2020/06/29

ゲームライフを変えうる魅力

 

今日、5Gの到来に伴って、Googleの「Stadia」 をはじめとしたプラットフォームが発表されたこともあり、ますます私たちにとって身近になったクラウドゲーム。ひとことで言うと数値やコマンドのような最低限の処理だけでなく、映像処理を含めたすべての処理をサーバー上で行うシステムです。クラウドゲームは、従来のゲームと異なる3つの革命的な特長を持っています。


(人々は様々なデバイスから「Stadia」などのクラウドゲームサービスに接続することで

気軽にゲームをプレイできる。)

 

特長1:デバイスに依存しない

これまで高精度のオンラインゲームでは、映像処理はクライアント側で行われるため、ユーザーは高精度のグラフィックボードを搭載したPCを購入する必要がありました。しかし、クラウドゲームでは、映像処理を含めたすべての処理がサーバーで行われるため、ユーザーは高性能なPCを買わずとも、ネットワークに接続されているテレビやスマホでPCユーザーと同じタイトルのゲームをプレイできるようになります。

 

特長2:簡単に始められる

ユーザーは、ゲームソフトのインストールをする必要はもちろん、追加機能に対するアップデートを行う必要もなくなります。私たちは、「ソフトのダウンロードに時間がかかってゲームを始められない」という苦い体験をしなくて済むでしょう。

 

 

特長3:快適にプレイできる

プログラム処理をクライアント側で行う従来のオンラインゲームは、チーター(プログラムを改ざんし不正行為、チートをはたらく人)の存在に悩まされていました。ゲーム内でチートが横行するとプレイヤーの不満がたまり、ゲームの運営はチーターの発見と対策に費用を費やさねばなりません。しかし、処理がすべてサーバー上で行われるクラウドゲームでは、プログラムを改ざんすることが困難なため、よりフェアなプレイ環境が整うと予想されます。

 

以上3つの特長により、クラウドゲームのプレイヤーは、数十万円するPCへの投資を惜しまないコアゲーマーのみならず、ゲームは好きだが、あくまで娯楽の一環であるとするカジュアルゲーマーにまで広がるといわれています。

 

 

マーケティングツールとしての可能性

 

以前よりも幅広いユーザーがゲームに熱中することは、企業のマーケティングに主に2つのインパクトを与える可能性があります。

 

1つ目は、ゲームメディアでの広告効果が上がるということ。Twitchをはじめとしたゲーム配信サイトでの広告掲載やゲームインフルエンサーとのコラボは、今まで以上に効果的なマーケティング手段となるでしょう。特に2020年は、人々のゲームライブの視聴時間が前年比で17%増加していることからも、ストリーマーとのコラボの効果は非常に大きいと予測できます。

 

2つ目は、サイコグラフィック分析を、従来の購買履歴や趣味趣向の分析だけでなく、「バートルテスト」という分析手法を用いて行えるということです。

「バートルテスト」は、プレイヤーがゲームの何をどのように楽しむかで4分類するものですが、マーケターは、これとクラウドに一元管理されたゲームのプレイ履歴とを組み合わせることで、次のようにゲーマータイプ別に顧客単価を上げる施策を講じることができるかもしれません。

 

●消費者のゲーム嗜好にアプローチする方法

 

まず、ゲーム内世界を主体的に楽しみたい「アチーバー」な消費者は、自分自身が物事をどれほど達成できたかで満足度が変わります。彼らには、企業との関係の中でミッションとその達成に対する報酬を与えることで、顧客関係を強化できるでしょう。

 

ゲーム内世界を楽しむという点において「エクスプローラー」は「アチーバー」と似たもののように感じられますが、新しい発見を好み、単純作業を嫌うという特徴があります。彼らには、商品に簡単には見つからないオリジナリティのある発見要素を設けることで関係強化が見込めるかもしれません。例えば、不二家の「ミルキー」の包み紙には、稀に三つ葉のクローバーの中に四つ葉が紛れていますが、これもオリジナリティのある発見要素のひとつといえるでしょう。

 

他プレイヤーに対して主体的に関わることを好む「キラー」な消費者は、相手よりも自分が秀でていることに満足する傾向があります。彼らには、企業と関わることで他の顧客よりもVIP扱いされるようなランキングシステムを提示することで、より密接な関係を構築できるでしょう。

 

最後に、ゲーム内での他プレイヤーとの相互的な関わり合いを好む「ソーシャライザー」な消費者。彼らには、購入によって他者との交流が促進されることをアピールできれば、効果的な購買につなげられるかもしれません。

 


(深田浩嗣『ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケーションが変える顧客満足』

ソフトバンククリエイティブ株式会社、2011年、59頁を参照)

 

カジュアルゲーマーをどう取り込むか

 

このように、クラウドゲームが流行することは、企業のマーケターに大きなメリットをもたらすと考えられます。しかし、ある問題を解決しなければなりません。それは、クラウドゲームサービスが、月額1,000円~2,000円のサブスクリプションモデルを採用しているものの、映像や音楽のサブスクリプションのように「なかなか解約されない」とは限らないということです。

 

現状、クラウドゲームのプラットフォーム「G-cluster」では、「ファイナルファンタジー」シリーズの過去作といった、明確なゲームクリアの規定が設けられているタイトルがラインナップされています。しかし、ユーザーにとって、そのようなゲームは、わざわざ継続課金でプレイするより、これまでのようにゲームストアで一括購入する方が効率的だと認識されるでしょう。

 

クラウドゲームが、カジュアルゲーマーに継続利用されるには、前述したクラウドゲームならではの特長を活かしたタイトルや楽しみ方を提供する必要があるでしょう。例えば、高機能PCでしかプレイできないハイスペックなゲームを、クラウドゲームでもプレイできること。あるいは、今まで高精度のハードウェアを持てずに、視聴することでしかゲームを楽しめなかったユーザーが、ゲームインフルエンサーとゲーム内でコミュニケーションできること、といったものです。

 

より多くの人を1つのプラットフォームに集めることは、ゲーマーやゲーム会社、スポンサー企業にとって今までにない可能性を開くことでしょう。

旬ワード|クリーンミート

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2020/06/26

培養技術が生んだ代替肉

 

ある代替肉(肉の味や食感を再現した食品)が、SDG’s推進のために国内外で話題です。代替肉は、大豆などの植物由来の原料をベースにしたものと、家畜の細胞を取り出して培養したものに大別されます。なかでも、いま注目を浴びているのが後者の「クリーンミート」。クリーンミートは動物の飼育と殺傷をせずに、細胞の培養によって生産されます。2013年、オランダの科学者Mark Post が細胞培養肉を使ったハンバーガーを初めてデモしたことを皮切りに、人々の関心を集め始めました。

 

社会的合理性の高さが特長

 

食肉を食べるよりも健康と環境に良いといわれるクリーンミートは、SDG’sの推進にも貢献することから、市場への拡大が急がれています。

 

【健康に良い】

・食肉よりも、低脂質でコレステロールフリー

・ウイルスの感染経路を阻止

 

【環境に良い】

・動物が排出するメタンなどによる大気汚染防止

・家畜用の餌の生産・水や土地などの環境資源が不要

・培養による大量生産で、人口増加による食糧不足を解決

 

膨らむ期待

 

  • 1|高級レストランのメニューへ/ALEPH FARMS(アレフ・ファームズ)

イスラエルのスタートアップ企業ALEPH FARMS社は、3Dプリンターを使った細胞培養肉の生産に成功しました。

ALEPH FARMS社は、2021年までにクリーンミートの薄切りステーキを高級レストランで提供するのを第一の目標としています。価格は50ドルを想定しています。

 

ALEPH FARMS社が生産した薄切りのステーキ肉

出典:https://www.instagram.com/p/B-QLge4nlg4/

 

  • 2|培養技術の発展へ期待をかけ8億円増資/インテグリカルチャー

クリーンミートを低価格で販売するため、独自開発した培養技術を核に日本で事業を展開するのが、インテグリカルチャー社です。インテグリカルチャー社は、細胞培養テクノロジーの研究開発のための資金として、2019年に事業会社や個人の第三者割当増資により8億円を調達しました。資金提供者には、「日本ハム株式会社」なども名を連ねることから、国内の食品業界からの期待も高いことがうかがえます。

 

特許取得済みの独自技術プラットフォーム『CulNet System』

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000034252.html

 

「食肉レス」による影響

 

食肉消費の主な対象がクリーンミートに移行し、培養技術が他の商品の生産にも適用されていくと、変化を強いられる業界も出てきます。例えば、家畜の副産物である毛皮や革を取り扱うブランドは、製品やコンセプトまでも変えざるを得ません。家畜の餌生産を主な収入源としている第一次産業も影響を受けるでしょう。

また、培養技術は肉の生産以外にも洋服やコスメに活用され始め、家畜がいなくても代用品を立てられるよう、エシカル消費が推し進められています。

アメリカのModern Meadow(モダン・メドウ)社は、酵母培養を利用して、動物不要のレザーをつくることに成功しました。

 

モダン・メドウ社の商品ブランド『ZOA』のレザー製品

出典:https://www.gizmodo.jp/2017/10/lab-grown-leather-zoa.html

 

消費拡大の課題

 

仮に、培養によって生産されたクリーンミートや商品を手軽に購入することが可能になったとしても、人々がそれらを消費するでしょうか。クリーンミートを主要な食肉として消費してもらうためには以下の課題があげられます。

 

●安価に商品を提供すること

現時点で家畜の食肉より高価なクリーンミートの購入希望者は、高所得層よりも低所得層に多いということが明らかになりました。クリーンミートを求めている低所得者層が安価に商品を入手できるのであれば、購買行動へ踏み切ってくれるかもしれません。

 

消費者の理解を得ること

しかし、実際にクリーンミートを「食べてみたい」という人は、まだ3割弱。「食べても食べなくてもどちらでも良い」人と「食べたくない」人は、合計で約7割以上います。クリーンミートの合理性への理解が進む一方で、実際に「食べてみたい」という人はまだまだ少ないといえるでしょう。また、クリーンミートがSDG’sの観点から倫理的に良いという意見と、細胞を培養する生産方法は不自然だという論争が起きているように、消費者となり得る人たちの態度にはバラつきがあります。

旬ワード|イミ消費

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2020/06/24

進化する「○○消費」

 

時代とともに変化してきた消費者の購買傾向を、3つのキーワードで語ることがあります。まず、主に1970~80年代の消費観として挙げられるのが、「モノ消費」です。これは、モノ自体の価値が高く評価されていた時代の消費行動で、製品・サービスそのものの消費を意味します。具体的な消費対象は、家電・服飾・店での食事などです。

 

次に、主に1990年代後半~2000年代に広まったのが「コト消費」です。コト消費とは、商品自体よりも、特別な体験や人間関係を深める機会など、特別な時間を過ごす「体験」の消費を指します。つまり、旅行やイベント、パーティーなどはこのグループに入ります。

 

そして、主に2010年代~(特に震災以降)に顕著なのが「イミ消費」と言われています。ホットペッパーグルメ外食総研のエヴァンジェリストである竹田クニ氏によれば、イミ消費とは「商品・サービスそのものが持っている機能や効能だけではなく、その商品が付帯的に持っている社会的・文化的な『価値』に共感し、選択する消費行動」です。

 

例えば、フェアトレードチョコレートの購入にはイミ消費の側面があります。有機栽培されたカカオ豆を適正価格で買い取り、カカオ生産者の健康や環境を守り、さらに教育支援などのサポートをしている団体。そういった団体からチョコレートを買うことで、消費者は自らの購買行動が社会貢献につながっていると感じられるのです。

 

 

「意義の消費」3つの顔

 

社会的な意義をアピールしプロモーションにつなげている事例は多々ありますが、ここでは2007年~2016年に展開されたヴォルビックの「1L for 10L」プログラム(日本で1Lの水が購入されるとアフリカに10Lの水が供給されるというもの)を広報、営業、そして個人それぞれの視点からご紹介します。

 

Volvicによる「1L for 10L」キャンペーン

出典(https://www.kirin.co.jp/products/softdrink/volvic/1lfor10l/

 

まず広報視点では、この取り組みはプログラムを通じて社会全体の問題解決を貢献しているということのアピールとなります。SDG’sに紐づけることも可能で、事業としてアフリカの水不足問題を解決することを推進するプログラムであるという訴求にもなるでしょう。

 

次に営業視点でみると、この取り組みは「1Lの水を買うことで、アフリカに10Lのきれいな水が提供されます。どうせ水を買うなら社会貢献できる水を買いませんか?」というセールストークを可能にする材料であると考えらえます。いわゆるコーズ・リレイテッド・マーケティングの一例として捉えれば、環境問題に配慮している製品であるという大義名分のもと、商品の購入を促していることになります。

 

個人の視点では、この取り組みはイミ消費を喚起するアイコンとしての位置付けになりそうです。例えばコロナ禍によって衛生意識や社会貢献意欲が高まっている今、水を買うだけでアフリカの子どもたちを救えるとなれば、貧困問題などに関心のある消費者にとっては社会貢献できるまたとない機会となるからです。

 

 

「正しい消費」の行く先

 

コーズマーケティングとイミ消費の重要な違いは、消費者の思想が購買行動にどの程度影響を与えると想定しているかどうかです。

 

コーズマーケティングの着地点は、それが広報活動の一翼であることからもわかるように、消費者が自社製品の社会貢献的価値に気づくように仕向け、いわば消去法で購買につなげることにすぎません。一方、イミ消費は文字通り、購買行動が生み出す「イミ」を自らの思想と照らし合わせて価値を見出した消費者による行動です。

 

振り返ると、商品購入に際して社会的意義を重視する消費者が増えた背景として、竹田氏は2019年11月26日の「BAE」において、次のように述べていました。

 

「もともと以前からそういった傾向はありましたが、東日本大震災という未曾有の災害を体験したことをきっかけにその意識が強まったといえます。また近年の甚大化する自然災害などの経験によって、さらに『地球市民として正しい消費をしよう』という気持ちが加速し、定着してきたわけです。」

 

製品が市場に溢れた現代。サブスクリプションモデルを使用したり、SNS上で他者の意見に触れたりといった体験が日常化する中で、消費者は自らの消費の意義を問うべくして問うているように見えます。そして今、コロナ禍も相まって、特に社会的に「正しい」ことに対する共感を触媒とする消費の土壌形成が進んでいるようです。

 

その一方で、社会的意義への共感を喚起し消費行動につなげようとする手法が長続きしないであろうことは、「1L for 10L」の例から予想できます。このようなアプローチでは、消費者各々が持つ価値観にまで届かないでしょう。消費者が考え得る「イミ」の公倍数に依るのではなく、個々人の「イミ」をどう捉えるかが、今後のカギになりそうです。

旬ワード|ドローン配送

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2020/05/31

ドローン配送インパクト

 

ドローンの機体に専用のボックスを装着するなどして空輸するドローン配送。「ラストワンマイル」(倉庫から配送宅までの物流における最終工程)において費用削減や時間に縛られない配送ができると、期待されているビジネスです。2013年にアマゾン・ドット・コムが、ドローンを使った商品配送の計画を発表したことを皮切りに、世界各国でその実用化の機運が高まってきています。

 

▶米Wing社のニュースリリースより

 

「ラストワンマイル」の輸送に、2兆円以上(矢野経済研究所調べ)のコストをかけている日本でも、ドローン配送による人件費や移動の削減が期待されています。しかし、ドローンが街中を飛び回るというのは、市民にとって少し不安なものです。実用化に際して、業界には技術面と管理面の両方で、課題を解決することが求められています。

 

技術面での主な課題は、目視外飛行や夜間飛行、雨天時での安定飛行など、常に頭上飛行の安全性を担保することです。管理面では、飛行中のドローンが許可を得たものなのか、また他のドローンと衝突する恐れがないか確認し、管理するシステム、通称UTM(ドローン運航の管理システム)の整備、さらには危険な飛行を禁止する法律の制定が必要です。

 

 

技術とシステム構築で先行する各国の状況

 

国際的には、ICAO(航空業界の安全を監督する国際民間航空機関)が、UTMの国際基準の策定を推進していますが、実用化に向けた進捗は国それぞれです。ここからは、国別のドローン配送の現状を、先にあげた課題にどのように対応しているかを含めて追っていきます。

 

●ドローン×AIで物流網を構築する中国
中国ではドローンの飛行技術にAI技術を融合し、全自動の物流システムを開発しているアントワーク社が、医薬品などの配送で、ドローンを活用しています。同社のドローンは、雨天時でも、30キロ以内の距離であれば、最大7kgの重量物を30分以内に配送できるほどの性能を有しています。

中国民用航空局は、アントワークに対し、「特定類無人機試験運行批准書」と「無人機物流配送経営許可」を交付したため、同物流システムはスターバックスやKFCなどに導入されることになりました。

 

●リモートIDで安全を保障するアメリカ
アメリカでは、GAFAなどの民間企業が主体となってドローン配送の実現に向けて動いています。グーグルの関連会社であるWing社は、家庭向け商品のドローン配送を実現。また、アマゾン・ドット・コムもドローン配送サービス「Prime Air」の開始を発表しました。

アメリカのドローン配送の実現に向けた進捗の大きな要因として、リモートIDの導入が挙げられるでしょう。リモートIDは、飛行するドローンが合法的に運用されているかを確認できる画期的な仕組みです。住民は、飛行するドローンの情報ひいてはその安全性を、ドローンの機体から直接、もしくは地上設備からインターネット経由で発信されているリモートIDを読み込むことで確認できます。

リモートIDは、2019年の末にICAOが開催したドローンに関する国際会議「ドローンイネーブル3」で注目を浴び、世界の航空規制機関や運行管理団体で導入が積極検討されています。

 

▶ 日本経済新聞デジタル版2019年11月29日の記事より

 

●国家主体でUTM構築が進む欧州

欧州など、米中以外の各国でも、2国を追いかけるようにドローン配送にむけたUTMの整備が行われています。

例えば、スイスでは、政府と民間の役割を明確化したUTM構想「Swiss U-Space」に基づき、官民合同でUTM整備に着手。また、イタリアでは、政府機関主体が主体となって、あらゆるドローン管制整備が進められています。欧州が、このように国家主体でUTMの整備を行う背景には、ドローンビジネスまでをも米中のユニコーン企業に支配されたくないという意地があるのでしょう。

 

 

後を追う日本は法整備がカギ?

 

日本も、技術面の課題解決においては、他国に引けを取っていません。例えばANAは、ドローンを用いた離島間の物流実験を行っています。また、日本郵便は、福島県でドローンを活用した郵便局間輸送開始し、楽天は離島配送プロジェクトを開始しています。しかし、問題は、これらの技術を離島間や山村部だけでなく都心で応用するための、管理面での課題解決が進んでいないということです。

 

まず、法整備。もちろん現行の航空法も、ドローンの飛行時に地方航空局や警察への許可が義務化されており、住民の安全確保という観点では充分なものです。とはいえ、都心部での頻繁なドローン配送を望む上では都合の悪い制度であり、その緩和ないし改正が求められています。

そして、UTM整備。やはり都心部でドローン配送を実現させるには多くのドローンが同時に飛行しても問題ない管理システムが必要です。さらに、自動配送や国家間での配送という未来を描くと、リモートIDの導入は欠かせなくなってくるかもしれません。

 

 

 

旬ワード|アイカサ

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2020/05/31

QRで借りられる傘「アイカサ」

「アイカサ」とは、傘のシェアリングサービスのこと。出先で傘が必要になった時に、指定の設置場所(以下、スポット)で傘を借りて使用することができます。2018年12月、株式会社Nature Innovation Groupが、国内のビニール傘の消費を抑えることを大きな目標に、この事業をスタートさせました。

 

インターネット上でモノやサービスを共有し活用するシェアリングエコノミーは、年々その市場規模を広げています。中でも「アイカサ」は、企業が個人にモノを貸すという形態のシェアリング事業です。

 

「アイカサ」の使用方法

  • 1)スマートフォンの専用アプリもしくは、LINEからアカウントを登録する。

※支払いのためクレジットカードかLINE Payの登録も必須(持ち去り防止にもなる)

  • 2)スポットに行き、借りたい傘についているQRコードをスマートフォンで読み取る。
  • 3)使用後に返却しやすいスポットで返却用のQRコードを読み取り、傘を返却する。

 

それぞれの傘にQRコードがついているため、この使用方法が実現されています(2020年6月からは傘立てにQRコードがつけられます)。そのため、傘の貸し出しと返却が行われた2つの地点とその場所にいた時刻を、QRコードから特定することができます。横浜市内では、こうして収集できた移動実績を分析し、街の課題を抽出する試みも始まっています。

 

料金は1回24時間の使用で70円。月額280円で使い放題のプランを選ぶこともできます。「ビニール傘を買うよりも安く傘を使える」ということを踏まえた価格設定です。ただし、傘を返却しないと、同月内で420円まで自動的に料金が課せられます。

 

収益の要は、街中スポットの拡大

「アイカサ」事業には、傘を置いておくためのスポットが必要不可欠ですが、現在、その数は全国で約850(2020/4/15現在)ヶ所。これまでは、飛び込み営業で徐々にスポットを増やしてきました。(現在は、営業代行)。スポットの種類は、カラオケなどの商業施設から、駅やオフィスなどの公共的な場所まで多岐にわたります。

 

「アイカサ」の収支の内訳は非公開ですが、出資と収益の構造は以下の通りです。

 

「アイカサ」の出資と収益

「アイカサ」は、設置に至るまでの費用(物資準備や営業など)とメンテナンスなどの運用費用を出資し、各スポットで発生する設置費用や使用料の90%などが収益となります。オフィスに導入する場合は、従業員の使用料が発生しないので、月々9,000円からの設置費用のみが収益です。また、スポットと資本業務提携や第三者割当増資等で運用段階前の出資を抑えられる場合や、傘のデザインや「アイカサ」専用アプリを媒体とした広告掲載から得られる収益もあります。

 

スポット側の出資と収益

スポットを提供する企業や自治体は、初期の設置費用(税抜4,000円)、毎月の広告掲載料(税抜き1,000円)・地図掲載料(税抜き1,000円)・システム料(税抜き980円)を出資し、毎月、スポットごとに発生した「アイカサ」の使用料の10%が収益となります。

 

店舗・交通機関の「アイカサ」活用例

「アイカサ」を設置すると、収益や広告掲載による宣伝効果などが見込めますが、各スポットはこれらの経済的効果に期待する以外にも、「アイカサ」を設置する目的があります。

 

  • 1|メガネスーパーのケース

メガネスーパーでは、雨でメガネが濡れると視界が悪行になりストレスを感じるという声をきっかけに、約30店舗に「アイカサ」を設置しました。メガネスーパーの店舗を通し『快適な雨の日ライフ』を提供することを目的としているようです。

 

出典:https://i-kasa.com/2019/01/29/3980/

 

  • 2|水戸市のケース
  • 茨城県水戸市では、観光活性化を目的として、「アイカサ」を主要な観光場所10か所に設置しました。「アイカサ」があれば、傘を忘れても観光を楽しむことができます。これは、「アイカサ」が初めて行政と協定を結んだ事例です。

 

出典:https://jp.techcrunch.com/2020/01/20/i-kasa-mito/?guccounter=1

                               

                              • 3|小田急のケース
                            • 小田急線では、『傘を持ち歩かない生活を目指し、雨の日における移動を便利にする』ことを目的として、小田急線各駅を中心に「アイカサ」を設置しました。試験導入での利用実績に基づき、設置する駅を調整した上で本導入が進められました。
                • 出典:https://jp.techcrunch.com/2019/11/26/i-kasa-odakyu/

 

さらに、小田急では26駅のスポットで路線図をモチーフにしたデザインの傘を借りられます。「アイカサ」はスポットやエリアによってデザインの違う傘を借りられる点も魅力のひとつです。

 

出典:https://www.odakyu.jp/news/o5oaa1000001nihz-att/o5oaa1000001nii6.pdf

 

スポットを増加させるためには、「アイカサ」の収益性を前面に出すのではなく、各スポットが「アイカサ」によって実現できる理想の姿をイメージしてもらえるような切り口で営業していくことが大切かもしれません。

 

 

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