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旬ワード|ジェネレーティヴデザイン

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2019/08/02

ジェネレーティヴデザインとは、設計者がコンピューターに「こういうデザインにしたい」という仕様を入力するだけで、その条件を適用した設計案を、自動で生成する技術。建築や製造業の設計に採用されはじめ、近年注目を集めています。

 

コンピューターに設計の一部を委ね、作業効率化と高い創造性を実現

 

従来であれば、ビルの車輪やバイクの車輪をつくるとき、デザイナーはまずその見た目をイメージし、パソコンを用いてサンプルを作成していました。ジェネレーティヴデザインでは、最初のデザイン作成の工程に、機械学習と解析に基づくアルゴリズムを応用します。つまり、コンピューターを単なる出力の道具ではなく、デザインの共同制作者として活用するということです。

 

ジェネレーティヴデザインを用いた設計イメージ(1)バイクの車体と車輪をつなぐ、スイングアーム部分。

人間が指定した仕様に応じてデザイン案を複数自動生成する。

 

 

ジェネレーティヴデザインを用いた設計イメージ(2)

コンピューターが、莫大な候補の中から、

より高いパフォーマンスを発揮するデザインを識別する。

出典:Autodesk社 (https://www.autodesk.co.jp/redshift/generative-design-examples/)

 

人間がいくつかのデザインを作る時間に、コンピューターは何千という案を生成し、加えてどのデザインが高い性能を発揮するのか、その検証データも提供します。最初のデザインプロセスで充分なシミュレーションを短時間で行えるため、その後の製造過程で変更が生じにくくなり、工期とコストの削減効果も生まれます。

また、ジェネレーティヴデザインは、指定された条件から機械的に設計案を作成するため、人間の既成概念に縛られない、全く新しいデザインを生み出すことができます。

 

事例(1)電動車イス

 従来のWHILL Model C

出典:WHILL社 (https://whill.jp/model-c)

 

ジェネレーティヴデザインを応用したWHILL Model C

Autodesk社との共同開発。ジェネレーティヴデザインによって、

銀色のメインフレーム部分は40%軽量化できた。

出典:Autodesk社 (https://www.autodesk.co.jp/redshift/personal-mobility-whill/)

 

事例(2)橋

ジェネレーティヴデザインを応用した橋

歩行者の安全性を確保しつつも、芸術性を重視したデザイン。

出典:MX3D社 (https://mx3d.com/projects/bridge-2/)

 

今後のデザイン設計

 

ジェネレーティヴデザインを応用できるのは、製造業や建築だけではありません。たとえば、「落ち着いている」「洗練されている」といったデザインイメージを、文字の大きさ、色、画像などの仕様に言語化できれば、ウェブサイトなどのUI設計にも活かせます。

しかし、システムに最適な仕様条件を入力するには、デザインの豊富な知識と経験が必要です。また、ジェネレーティヴデザインだけで設計を完結させ、さらなる改良が施されていない製品は、システムを使えばいくらでも模倣できるため、自然淘汰されるでしょう。今後は、コンピューターがアウトプットした「予想外の」形状をヒントにして、うまく再設計する力こそが、デザイナーとエンジニアに求められます。

さらに、ジェネレーティヴデザインを活用して形状生成を行えば、顧客の細かい要望に応えつつも、設計段階を短時間で終えることができます。大量生産とオーダーメイドは、これまで対極的な製造スタイルと見られてきましたが、いずれはその境目自体がなくなるかもしれません。

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